2011年7月19日火曜日

沖縄染織研究会にて発表いたしました!

7月も後半へ突入。
セミもすごい勢いで鳴いています。

さて、7月15日(金)に沖縄染織研究会にて行われました、
「紅型の祖形と言われる浦添型(蒟蒻型)の調査研究・復元・復興」の
報告をいたしました。
当日は染織関係の方々や沖縄県立芸術大学の学生さん、
染織に関心のある方など
たくさんの方にご来場いただき、大変有意義な時間となりました。
ありがとうございました。



発表者 古琉球紅型 浦添型(蒟蒻型)研究所
     代表 伊差川洋子



木綿栽培から糸紡ぎ、機織り、浦添型の染色、
墨摺古紅型の化学分析までを
スライドショーを使いながら説明しました。
糸紡ぎに関することは、島袋博子さん。
機織りに関することは、島袋領子さんに発表していただきました。
お二人とも、知花花織で木綿に携わった方々です。

今回復元された浦添型が、幻と言われる由縁には
特定する現物資料がありませんでした。
私たちは今までは鎌倉ノートを手掛かりに研究を進めてきましたが、
今回は浦添型(蒟蒻型)と思われる「墨摺古紅型」の化学分析を
行うことができ、その結果も含めた発表ができました。
今回の調査研究でわかったことは、

墨摺古紅型=蒟蒻型(コンヤクガタ)=浦添型

ということです。
それ以外にも現在伝承されていない地色「老米色」など
分かったことはたくさんありました。

しかし、まだまだ調査研究しなければならないことが、山ほどあります。

紅型の奥深さを改めて感じた研究でした。
とてもいい機会をいただき、ありがとうございました。

2011年5月25日水曜日

沖縄染織研究会で浦添型復元の報告会

前回の更新から3か月位経ってしまいました。
この間、何をしていたのかと言うと・・・
いろいろと忙しかったんです。
報告書の作成等々。

平成22年度浦添型研究所の事業として、

紅型の祖形である浦添型(蒟蒻型)のルーツを探る
  -日本の染色品との比定調査研究―

紅型の祖形と言われる浦添型(蒟蒻型)の調査・復元・復興

を行いました。

浦添型研究所は紅型の祖形である浦添型(蒟蒻型)を研究するとともに
古紅型を研究し、より紅型を知るための研究機関です。

私たちは工房で染色をしていますが、その傍ら紅型の研究もしています。

紅型についてはまだまだ解明されていないことがたくさんあります。
現在では伝承されていない技法もたくさんあるんです。
勉強しても勉強しても、まだまだ未知の世界です。

そんなこんなで、平成22年度は二つの事業をさせていただきました。

ここからお知らせです。

2011年7月15日に、沖縄染色研究会にて浦添型復元事業の報告を発表します。

「紅型の祖形と言われる浦添型(蒟蒻型)の調査・復元・復興」報告 
 
場所:沖縄県立芸術大学付属研究所(第3キャンパス)
日時:2011年7月15日 PM 7:00 ~


※会員ではない方は参加費500円が必要となります。

古紅型裂地帳にある浦添型1点の復元を行いましたので
その報告をいたします。
このブログにもちょこちょこ載せていますが、
染色する素材の木綿から育てました。
興味のある方は、ぜひご参加ください。

2011年3月2日水曜日

朝田家の染型紙展

3月に入りました。
昨日は気温が25度まで上がり、とても暖かかったのに
今日は18度・・・。
春はまだな様子ですね。

お知らせがあります。



3月15日(火)~ 3月17日(木)の期間に
丹後・宮津の紺屋であった朝田家の染型紙展が
京都府宮津市「前尾記念文庫」にてお披露目されます。

この型紙は、江戸後期から明治にかけて製作されたと思われる、
大変貴重な染め型紙です。
今はなき紺屋ですが、この型紙から見える職人の技術、
こだわり、想いを多くの方々に感じるていただきたいと
思いご紹介します。

また、型彫り師の増井一平先生の講演型彫りの実演
予定されているそうです。
増井先生は、日本各地の型紙を見て歩かれ、
江戸小紋で人間国宝になられた方の
型彫りを担当されていました。
朝田家の染型紙と共に増井先生の講演・実技が
入場無料で拝見・拝聴できるなんて楽しみです。

日時:平成23年3月15日(火)~ 17日(木)
  (15日:12時~17時・16日:10時~17時・17日:10時~13時) 

場所:京都府宮津市立前尾記念文庫

型彫り実演:15日、16日は13時半~ 17日は10時半~

講演:タイトル「日本の型紙」
   16日10時半~ みやづ歴史の館(小会議室)

お問い合わせ: 朝田 TEL 0722-22-5217   

2011年1月17日月曜日

2011年も元気に頑張ります!

大変遅くなりましたが、
新年明けましておめでとうございます。

昨年を振り返ると、いろいろな事がありました。

3月には「鯨岡阿美子の愛したきもの展」が琉球料理 美栄であり、
伊差川先生が関わっていることから、ほんの少しお手伝いさせていただきました。
阿美子さんが好んだきものは、現代ではあまり見ないような大胆なものから、
シンプルなんだけど味があるものもあり、ステキだな~と見入ってしまうもの
ばかりでした。

昨年は初めて伊差川先生の創作柄で、踊り衣裳の注文を受けました。
衣裳をただ染めるのではなく、その衣裳で使う曲(新曲)を
聞きながら、イメージを膨らませ地色や差し色を決めていました。
衣裳についても調べ、お仕立も琉縫いをされる知花先生と相談し、
決めていきました。私たちもすごい勉強になりました。

6月には、伊差川先生が研究中の紅型の祖形である浦添型(蒟蒻型)
のルーツを探るということで、日本の染色品との比定調査研究で
東日本の染色品を数点調査させていただきました。
紅型のルーツを探るには、沖縄から外へ出て行かないと
調べようがないことや、もっと日本の古い染色品にも
目を向けていかなければならないことを実感しました。

それと同時に、浦添型と思われる古紅型裂地の復元に向けて、
素材作りから始めたいということで、木綿の種の植え付けから入りました。
沖縄(那覇・南部)にも木綿がたくさん栽培されていたということを
証明するかのように、驚くほど成長し、花を咲かせ実をつけました。
その実がはじけて綿になり、綿繰り、綿打ち、糸紡ぎと工程を経て、
現在は機にかかっています。今月中には反物(綿白生地)となります。
たくさんの人の手を経て、最後は染の工程へと移っていきます。
出番はもうすぐです。

10月には、第5回 紅型市場展がびんくらふとギャラリーでありました。
わかりづらい場所にあるにもかかわらず、たくさんのお客様にお越し
いただきました。毎回ステキな出会いがあり、嬉しく思います。

本当に昨年は、調査にご協力いただいた各施設の学芸員の方々、
浦添型研究を応援してくださる日本各地の先生方、そして
伊差川先生の新しい作品を楽しみにされている皆様に
大変お世話になり感謝する一年でした。
お蔭様で研究も着実に前進しています!
ありがとうございました。

今年も一生懸命頑張ってまいります。
どうぞ宜しくお願い致します。

2010年9月15日水曜日

朝、夕の風が涼しく感じられるようになりました。
気がつけば、9月も半ばです。
政治では菅さんが小沢さんを破って、民主党の代表に再選しました。
まだまだ安定しない世の中ですが、私たちはそれに左右されている暇がありません。

去る9月11日~13日まで、古琉球紅型 浦添型復元に伴い「木綿講習会」を
伊差川洋子染色工房にて行いました。
木綿?と不思議に思われていらっしゃる方もいるかもしれません。

初めてブログを見られた方のために、
現在に至るまでの経緯を簡単におさらいします。

紅型作家である伊差川洋子先生が古琉球紅型 浦添型研究所を立ち上げ、
紅型の祖形と言われる「浦添型(蒟蒻型)」を研究されています。
研究していく中で、先生と沖縄県立博物館が所蔵する、浦添型と思われる裂
(1種類)を復元しようということになりました。

まず、素材。その裂は手紡ぎされた木綿です。外国からの輸入品ではないことから、
当時、沖縄で栽培された島木綿ではないかと推測されました。
(1611年薩摩より木綿の種が持ち込まれ、那覇、南部は一面木綿畑だったそうです)

そこで、木綿を植えることから始めました。
ためしに北部の名護市源河(オオシッタイ)に植えてもらい、
今年は那覇の隣、豊見城市与根でも木綿を植えました。
葉や実を食べてしまう害虫が出ては、
農業をされる方、農協、沖縄県南部農業改良普及センターに相談に行きましたが、
沖縄県には木綿についてのデータが残っておらず、
木綿の産地である愛知県(知多木綿)へ連絡をとったりと
四苦八苦しながら、やっと収穫期がやってまいりました。
この沖縄で採れた木綿を沖縄の人に紡いで織ってもらい、
その白生地に浦添型を染める
という、
素材からの復元を目指して進行中です。
しかし、現在の沖縄には木綿を紡げる人材が少なく
簡単に指導を仰ぐことが難しいのです。

木綿のことについて協力いただいている愛知県名古屋市で
丹羽ふとん店を営んでいらっしゃる丹羽正行さんを
お招きし、「綿から糸への道具使い」ということで実演を交えて
お話いただきました。
ふとん屋さんがどうして糸紡ぎ??と不思議に思われたのは
私だけではないのでは(笑)
私も大変失礼だとは思いながらも「糸を紡がれるんですか?」と
お尋ねしたところ、
「ふとん屋なのに変でしょう(笑)木綿のことにのめり込んだら糸紡ぎまでね」
と気さくに答えてくれました。
そうです。丹羽さんは、ただのふとん屋じゃないんです!
内閣総理大臣賞をいただくほどの職人でありながら、
世界各地の綿や綿に関る道具を見て歩いたりと自己研鑽を
積まれています。

今回、木綿講習会に参加された方は、「浦添型復元のための綿花を育てる会」
のメンバーと、木綿に興味のある織物工房の方や
沖縄県立芸術大学の織物専攻の大学院生など、普段は絹で
織物をされている方がほとんどでした。

綿繰り(種と綿とを分ける作業)、綿打ち(弓を使って綿をほぐす作業)
糸紡ぎまで丁寧にご指導いただきました。
       

  「綿打ち」


  

  「糸紡ぎ」

その中で驚いたのは、絹や麻などは糸を紡いでいて切れたら、
結んでつなげるのですが、綿は切れた部分と繋ぐ部分を重ねあわせるだけで
1本の糸に繋がるんです!なんと「マジック!!」
綿ってこんなにも魅力あるんだと気づかされました。

1反の着物の復元
たくさんの方々に支えられながら
浦添型復元へ向かって進行中です。

2010年8月9日月曜日

台風4号発生!

深夜に発生した台風4号。
今朝、窓のそとでうなる風の音に
「台風?でも昨日の天気予報では何も言ってなかったけどなぁ・・・」
と、布団の中で考えながら「はっ!!」として起きました。
「綿!!」
そうです。大きく成長した綿は今月に入って少しずつですが、
実がはじけ始めています。

そして今日か明日にでもはじけそうな実がいくつかあるんです。
その実が強風で落ちてしまってはいないか、幹は倒れていないか・・・。
ヒヤヒヤしながら畑へ行ってみると、残念ながらこの強風で数本の幹が折れていました。



ものによっては、支柱までもが一緒に倒れていたりと
自然の驚異には勝てませんね。
それでも、はじけた実を見つけ収穫しました。



ここ数日、毎日のように畑へ足を運び害虫を捕り、実をチェックしていると
農業をしている方々の努力をしみじみと感じます。
自然との闘いですから、思うように事が進むはずもなく、
1日でも見に行かないと畑の様子が分からないと聞いていましたが、
本当にその通りだと実感しています。
なんだか、はるさー(畑仕事をする人)になった気分です。

すべての実がはじけて収穫できるまでみんなで頑張りま~す。

2010年7月3日土曜日

綿の花が咲きました ♪

セミの鳴き声が例年より小さく聞こえるのは私だけでしょうか??

前回ブログに書いた翌日、沖縄は梅雨明け宣言が出されました。
日照不足等もあり、綿花の発育がいまいち微妙・・・?ということから
その後、畑へ液体肥料を散布しました。

今朝、与根の畑へ行ってきました。
上に伸びる茎が暴風ネットまで届いているので、
ネットをはずし支柱と茎とを固定させる作業を再度してきました。



肥料散布から約10日。
なかなか大きくならず、葉っぱが黄色くなりしおれたかのようになっていたものは
青々と驚くほど元気になり、今まで順調に伸びていたものは、きれいな花を咲かせていました。



花が咲き、しぼんでくると下のようになります。
色が変わるんです。




驚きですよね~!
与根の畑では、いくつか花を咲かせていますが、
それでも成長がまちまちなのが残念です。
今回は植える時期もずれてしまったりといろいろありますが、
花が咲いたので綿が採れるのも、あと少しかもしれません。
楽しみです。