2015年6月17日水曜日

びんくらふとギャラリー30周年を迎えて Ⅱ  伊差川 新


伊差川 新 (Isagawa Shin)  1917-1989


昭和30年代の父 自宅のアトリエにて
 伊差川新は、大正6年(1917)那覇市に生まれる。少年期を沖縄の地で過ごす。 昭和16年に東京美術学校(現在の東京藝術大学)工芸学科漆部を卒業。同年の卒業作品 「蒔絵屏風 チーター」 は、大学買取作品となる。 その後、沖縄県工芸指導所漆芸 主任、沖縄県産業デザイン振興会 理事局長などを務める。
 その様な職務のかたわら、昭和31年には、琉球政府郵便切手類発行審議会委員となり、昭和48年沖縄が、本土復帰を果たすまでに数多くの琉球切手(約50種)のデザインを手掛けた。
  また、昭和38年以降は、フリーランスデザイナーとして活躍し、沖縄の商業デザイン界のパイオニアとして、リーダーシップをとってきた。
  代表的な商品デザインにオリオンビール、瓶の楕円ラベル(昭和34年~平成元年)や琉球煙草(5種) “うるま”や“Violet”、“Pink”などがある。その他、ロゴマーク、シンボルマーク、パッケージデザイン、インテリアデザイン、店舗設計、都市環境デザイン、アメリカ将校の墓のデザインを手掛けるなど、多岐に渡り沖縄の商業デザイン界を支えた。

 この度、80年前に東京藝術大学へ寄贈されました 伊差川 新の卒業作品 蒔絵屏風 「チーター」 の原画がみつかりました。 伊差川新も  “びんくらふとギャラリー30周年”  をお祝いしてくださっているかのように思います。
 尚、30周年を記念し毎年恒例12月の「市場展」にて、屏風「チーター」の原画を展示します。
 また琉球切手(おきなわ県立博物館蔵)の原画数点も現在調整中ではありますが、県立博物館から貸出許可がおりれば、同時に展示したいとおもっております。

― 経 歴 ―


大正 6年7月  那覇市出生
昭和 10年3月  沖縄県立第二中学校 卒業
昭和 16年3月  東京美術学校(現 東京藝術大学) 漆工部 卒業
    〃     理研電化工業株式会社 新竹工場 入社
昭和 18年    県立工業指導書 漆工 主任
    20年2月  宮崎木材航空株式会社 企画部 入社
    21年8月  沖縄へ帰還
昭和26年     合資会社国際構装社 設立
   31年     商業デザイン会社 自営
    〃     琉球政府郵便切手類発行審査委員
昭和38年     以後フリーデザイナーとなる
   42年     琉球大学美術工芸科 非常勤務講師
   46年     沖縄産業デザイン振興 事務局長
    〃     沖縄県特別国体実行委員 デザイン部長
   48年     沖縄県工芸振興センター 理事
   52年     沖縄文化財専門委員
   60年5月    びんくらふとギャラリー 開設
平成元年3月   国井喜太郎産業工芸賞 受賞
    〃 9月   没


伊差川 新の仕事


  伊差川新は、商業デザイナーのみならず、工芸研究家/漆芸研究家としても活動をしています。
特に力を入れていたのは、自身の専門でもあった「漆」でした。下記に伊差川新の筆記書を一部ではありますが、ご紹介致します。



― 工芸関連筆記一覧 ―

昭和39年 台湾の手工芸
昭和46年 漆器産業について 沖縄の将来を考える
   〃    沖縄からの漆工報告書(明漆ゼミナー)
昭和47年 琉球漆器の特色 (『流経文化』 琉球文化社)
   48年 沖縄工芸の現状と将来を考える (『琉球の文化』 琉球文化社)
   49年 沖縄の工芸運動 ―紅房漆器40年余の歩みを通じて―
   53年 伝統工芸品の量産とデザイン品質の問題点
   54年 琉球文化
   〃    岐路に立つ工芸産業 「伝産法と問題点」 (琉球新報社)
昭和55年 「ループタイ」開発のための実態調査報告書
   56年 これからの伝統工芸産業 (沖縄タイムス社)
   〃   琉球漆器の現状と将来 (琉球漆器振興シンポジュウム報告)
   〃   東南アジア美術工芸の旅 「タイと琉球漆器調査報告書」
昭和57年 これまでとこれからの平和通り 当時の看板とデザイン
   58年 「琉球漆器」 第一号 (琉球漆器研究) 
   
   




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